ネオたぬ記

読んだ本の感想。見聞きしたこと。

OECDが労働組合の重要さを訴えるというお話

 

OECDが最賃引き上げと、そのための団体交渉の重要性を訴える。

OECD、団体交渉の復活呼びかけ 賃金目減りに対抗(ロイター) - Yahoo!ニュース

経済協力開発機構OECD)は、最低賃金を引き上げ、団体交渉への支持を獲得することが、インフレスパイラル(連鎖)による賃金の目減りを抑えるのに役立つとの見解を示した。

2022年9月12日のロイターの記事。

労組どころかOECDも労組と最賃引き上げの重要性を訴える。

趣旨としては、まともに経済を回すためには労働者側にまともな交渉力をという話ですが、そのためにいわれていることは労働組合がなければ労働者は経営者の交渉相手たりえませんよ、という当たり前のお話です。

経済格差の拡大に対するOECDによる懸念はほかにも2014年の『所得格差の動向と経済成長への影響』にも。

「富裕層と貧困層の格差は今や大半のOECD諸国において過去30年間で最も大きくなっている。……このような所得格差の趨勢的な拡大は、経済成長を大幅に抑制している。」

格差拡大の弊害、最賃の低さの問題はテレビニュース、ワイドショーレベルでも見るようになってきていますが、この解決を労働組合をメインに論じるものはほとんど見ないような印象。OECDは「企業と労働者の交渉力のバランスを調整する必要」がある、と。

 

労働組合法第1条

この法律は、労働者が使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること、……その他の団体交渉を行うために自主的に労働組合を組織し、団結することを擁護すること並びに使用者と労働者との関係を規制する労働協約を締結するための団体交渉をすること及びその手続を助成することを目的とする。

労働組合による集団的な交渉が目指されて、そしてその法的保障が認められて、ようやく労働者は使用者と「対等」だよ、と法律は言っています。この数十年で(もとから弱かった)労組が弱体化した今こそ、またとりわけこの法律のような認識が弱い日本だからこそ、この文章は繰り返し確認されるべきと思います。

 最低賃金の引上げ、さらには集団的交渉の担い手の再建は国・政治の側にとっても今よりさらに重要な課題になっていくのではないでしょうか。かれらにとってはさしあたり人道的な観点でないのはもちろん、「治安」の問題ですらなくなく、「経済」の問題として。最賃はいくらがいいのか?それに伴うほかの諸制度の変更は?誰目線か次第でいろいろな対立が考えられますが、日本をみている限りまだそれ以前の状況のように思います。

 もうすこし経済の勉強もちゃんとしてみたい。